昨今、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)により、
世界はとても大きな損害を受けました。
一方で、人々のウィルスによる感染症への対策意識は、劇的に向上したと思われます。
感染症対策として、
・手洗いうがいとアルコール消毒
・マスクをする(他社にうつさないため)
・密閉、密接、密集を避ける
・不要不急の外出を控える
など、といった行動が推奨されています。
これらのおかげで、感染爆発を抑え、医療崩壊を免れたのかもしれません。
しかし、世の中からCOVID-19がなくなったわけではありません。
今後いつ再流行するかわかりません。
そうなることを恐れて、
上記の行動を実行し続けるのでしょうか?
ウィルスの感染症対策として、
根幹的に重要なのは、”正常な免疫システム”です。
感染しても重症化していない人がたくさんいますよね?
私たちは、感染を恐れるよりもまず、
正常な免疫システムを手に入れ、
ウィルスに負けない強い身体をもつことを重要視すべきです。
感染症対策の中で唯一、
人生の豊かさをキープできる(むしろ向上しうる)手段でしょう。
そこで、本ブログでは、
正常な免疫システムをもつことを推奨してきました。
そのために、
免疫という現象について理解し↓
ストレス解消が
免疫システムをはじめとする身体の健康に良いことを
解説してきました↓
ストレス解消は、現代人が抱える問題の根源
”交感神経が優位になりやすい”という現象の抑制効果があります。
この抑制効果を経由して、内臓のはたらきに影響し、
免疫システムを含むさまざまな体の調子を整えることを述べてきました。
今回は、
「ストレス解消が免疫に良いというけれど、その原理が知りたい」
という方に向けて、
現在、研究で明らかになっている自律神経と免疫の関係についてを紹介します。
専門的な内容で、少し難しいかもしれませんが、
良い理由を知って納得できれば、
プラシーボ効果(科学的に認められた思い込みの作用)で、さらに健康的な恩恵がもたらされるでしょう。
自律神経が免疫システムに与える影響
基礎知識として、人には心と体をつなぐ自律神経があります。
自律神経は、意図的にはコントロールできない内臓や組織のはたらきをコントロールしています。
ヒヤッとしたら汗がでる。
汗を出そうとしているのではなく、「ヒヤッ」という感情によって、脳が自律神経に作用して、汗腺をはたらかせているのです。
また、自律神経には交感神経と副交感神経の2タイプが、バランスをとりながら生命活動を維持しています。
前述の「ヒヤッ」によって、一時的に優位になるのは交感神経です。アドレナリンなどを分泌して、危機を免れるように身体にはたらきかけます。
つまり、ストレスが加わると、交感神経が優位になります。
ストレスは身体にとって良くないので、血圧を上げて危機を回避しろ!という身体のサイン(パニックを誘導することもある)なのです。
反対に、副交感神経はリラックスや休息、睡眠の際に優位となります。
詳細はこの記事でおさらいください↓
それでは、
ストレスの解消が、正常な免疫システムに重要と考えられる科学的根拠を列挙していきます。
1.交感神経は免疫系に直接作用する
免疫細胞の産生されるリンパ器官に、アドレナリン作動性神経1)やノルアドレナリン作動性神経の投射2)が確認されています。これは、交感神経優位によって分泌される神経伝達物質をシグナルとして免疫細胞に何らかの影響を作用していることを意味します。
一方で、副交感神経優位によって分泌されるアセチルコリンの作動性神経は検出されていません3)。
2.交感神経優位によって顆粒球の数が増加する
交感神経優位によって、白血球の一部である顆粒球(好中球や好酸球、好塩基球)の数が増加することが確認されています4)。
ノルアドレナリンの直接投与によって、末梢の血液で好中球の増加も確認されています5)。
3.交感神経優位がリンパ球を抑制する
ノルアドレナリンの投与が、末梢の血液におけるリンパ球の数を減少させます6)。
慢性的なストレスによる交感神経の優位が、(リンパ節にリンパ球をひきとめて、リンパ球の再循環を制限します。これが血液およびリンパ液においてリンパ球が減少する原因であると考えられています7)。
さらに、樹状細胞の抗原提示能やサイトカイン産生能の低下によるT細胞の活性化を阻害する可能性が指摘されています8)。
※免疫細胞の名前がピンとこない方はこちらの記事の下の方で図説してます^^
まとめ
数を増やしたり、抑制したりと、こんがらがりそうですね^^;
まとめると
ストレスがかかって交感神経が優位になると、
顆粒球が増加して、
それらの貪食作用は活性化される(メリット)
一方で、
リンパ球の動きが制限されたり、
樹状細胞の抗原提示能やサイトカイン産生能が低下するため、
獲得免疫の応答が弱くなる(大きなデメリット)
顆粒球の貪食作用が高まれば、一時的にウィルスを力技で食べる対応が向上します。
しかし、獲得免疫の応答が弱くなるのは損失が大きいです。
例えると、武器を使って戦えない、ということです。
抗体といった飛び道具が使えない他、
一度感染してしまった細胞を破壊できるような
特殊工具をもつ人員(キラーT細胞など)を派遣できません。
※樹状細胞やリンパ球のスムーズな連携が必要なため
また、注釈の通り、
顆粒球の貪食には、活性酸素などが生じて、身体をむしばむ要因が増えてしまいます。
さらにいうと、ストレスが加わると、
自律神経以外で分泌されるコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の影響も無視できません。
コルチゾールは、免疫のはたらきを抑制するのです。
詳細はまた触れる気があればですが、
コルチゾールは、マンモスを目の前にしたときに、
空気中のウィルスに対する抵抗力を弱めて、
その分を対マンモスのエネルギーに回すようにする、目的で機能します。
というわけで、ストレスを解消することが、
本来もっている免疫システムを十分に引き出すのに重要なのです。
快適でリラックスして過ごすことが、
この感染症対策の昨今において、重要だとわかっていただけたと思います。
次回は、免疫システムに依存しない別の感染症対策を紹介しましょうかね。
[ 参考 ]
1) Felten, D. L., Felten, S. Y., Carlson, S. L. et al.: Noradrenergic and peptidergic innervation of lymphoid tissue. J. Immunol., 135, 755s-765s (1985)
2) Brodde, O. -E., Engel, G., Hoyer, D. et al.: The β -adrenergic receptor in human lymphocytes: Subclassification by the use of a new radio-ligand, ( ± )-125 iodocyanopindolol. Life Sci., 29, 2189-2198 (1981)
3) Nance, D. M. & Sanders, V. M.: Autonomic innervation and regulation of the immune system (1987-2007). Brain Behav. Immun., 21, 736-745 (2007)
4) 安保徹, 免疫革命, 2003
5) 田渕崇文, 東京医科大学雑誌, 57(1), 15-22, 1999
6) Benschop, R. J., Rodriguez-Feuerhahn, M. & Schedlowski, M.: Catecholamine-induced leukocytosis: early observations, current research, and future directions. Brain Behav. Immun., 10, 77-91 (1996)
7) Nakai, A., Hayano, Y., Furuta, F. et al.: Control of
lymphocyte egress from lymph nodes through β
2-adrenergic receptors. J. Exp. Med., 211, 2583-2598
(2014)
8) 鈴木一博, 領域融合レビュー, 4, e011, 2015 DOI: 10.7875/leading.author.4.e011
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