感情をコントロールできないと、他者と協力し合って生きていくのが難しくなります。
自分の感情をうまく他者に伝えること術がわからなければ、人から理解してもらえないため、孤立したり、すぐに暴力をふるってしまうことになりかねません。
また、これは他者の人の気持ちを理解する能力につながってくるため、社会で生きていくためには、無視できないモノです。
本記事は、学術的に権威のある方々が唱える、感情をコントロールできる子供の育て方を紹介します。
発達心理学者の渡辺弥生教授曰く、
感情を表現する能力は、
家族、友人、地域の人々から教えられて学んでいくらしいのですが、
最近では、そのようなつながりが少なくなってきたため、
感情のコントロールの仕方を教える必要がある
のだそうです。
では、具体的にどのように子供に接したり、コントロールの仕方を教えていけばよいのでしょうか?
児童心理学者のハイム・G・ギノット博士によると、
まず、子供が自分の気持ちを否定しないように育てることだそうです。
つまり、親が子供の気持ちを否定するような対応・育て方をすると、
子どもは自分の気持ちなど知る必要はない、と考えるようになっていくわけです。
自分の感情のコントロールどころか否定そして無視するようになってしまうのですね。。。
1.子供の気持ちを否定せず尊重する具体的な方法
この方法について、児童心理学者のフェイバとマズリッシュが10年に及ぶ調査から、以下のやり方を提言しています*。
*参考:子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全
注意を傾けて聞く
子供は自分の気持ちを誰かに知ってもらいたいことから、
話をして、共感を求めてくるものです。
子供の話に対して、まず口先だけで答えるのでなく、
手を休め、真摯に聞いてあげましょう。
それが、間違ったような話であっても、
ただ否定したり、道徳的なことだけを言うのでなく、
共感しながら、聴いてあげることが重要です。
相づちで気持ちを認める
「まぁ」、「あらあら」、「ほんと」といった相づちを口にしながら聞いてあげることで、子供は、自分の口で話をする中で、
自分の考えや気持ちを見つめ直し、自分で解決方法を見つけようとします。
問いただされたり、アドバイスされると、
気持ちや本質がわからなくなってしまうようです。
ここは、マジレスの問題の解決ではなく、
子供の思考や感性を育てる機会だと思いましょう。
感情にラベルをつける
親は子供の気持ちに対して、
「イライラするね」や「悲しいね」といった言葉で、
感情の種類を表現してあげると、子供は自分の内面がわかるようになり、落ち着くことができるようです。
そのような言葉に反発することもありますが、
共感してあげながら、黙ってそばにいてあげることが大切だと言われています。
一緒に空想する
子供がないものねだりしてきたとき、大人は無理な理由を、論理的に説明しがち。
しかし、子供は”何をどれだけほしいか”わかってもらいたいだけなのです。
「~の魔法をつかえたら~」、「~をもっていたら~」と空想の世界を語ってあげると、
子供も自分の気持ちのコントロールができるようになってくるとのことです。
感情の強さを認識させる
子供自身に感情の強さを見える化させ、客観的に認識させることが有効です。
例えば、
子供がイライラを感じているときに、
「大声で怒鳴ったり、モノを壊したくなる」のがMAXの10イライラだとすると、
今は何イライラ?
と確認させることです。
(小さな子供だから尋ねられる質問ですよね^^;)
実はこれ、聞いたことがあるかもしれませんが、
”メタ認知*”と呼ばれるものです。
*自己の認知活動(知覚、情動、記憶、思考など)を客観的に捉え評価した上で制御すること。メタ認知能力を育まれると、自己分析能力や戦略性、コミュニケーション力が上がるとされています。
2.自分の感情をコントロールするコツ
以上が、発達心理学者が研究から編み出した感情をコントロールできる子供の育て方でした。
それでも感情的になってしまう子供もいるかもしれません。
時にはそれを一人で、対処できるようにコツを教えてあげましょう。
非常に簡単なことで、以下の行動を行う習慣をつけさせましょう。
●深呼吸をする
●場所を変える
●水を飲む
要するに、時間や環境の変化を与えて、自分を俯瞰して考えさせるということです。
一番手軽でおすすめなのが、深呼吸です。
感情的になると、自覚しにくいですが、呼吸が乱れます。
深呼吸することで、心も体も緊張が和らぎます。
社会では、自尊心が削られる機会は何度もあります。
自分なりの感情をコントロールする術を、身につけさせておくことをおすすめします。