システマ

格闘家ド素人がシステマだけでMMAに挑戦してみた【試合展開と心境を解説】

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昨日は、MMA(総合格闘技)の試合に出場しました。

格闘技素人の私が4年間システマを学ぶことで、
MMAの試合にて、どのように立ち回り、対応できるかどうか試した次第です。

当然のごとく、現在気づきと学びに溢れかえっているわけですが、
これらをできるだけ取りこぼすことなく回収することが、試合後の重要な取り組みです。

とにかく、試合の直後、翌朝と身体と心境の変化が大きいので、
自己観察を続けつつ、今後の活動の仕方に還元していく所存です。

2021年8月その試合の模様を公開しました!!

1.試合の振り返り

当事者の目線で、試合展開を説明します。

 

リングのデカゴン*は、意外に広く、ほぼオープンワールドのように思えました。

*10角形のゲージ

選手コールがあり、実際に入ったときも、ゲージは気にならず、

開放的な広さを感じました

(床が白く、照明も明るかったので膨張して見えたのかもしれません)。

 

ゴングとともに、両サイドから選手が近づきます。

(試合前に面と向かい合うようなものは、アマチュアだからなかったのかな?)

近づいて初めて、相手の顔が認識されました。

ファイトする前の挨拶、お互い手を当てる仕草を要求されたので、それに応じます。

突っ込んでくるか、間合いをとってくるか、

今回の相手は、やや距離をとるスタイルのようでした。

それに付き合うことなく、自分のやりやすい距離に詰めていきます。

このとき、前進することにとらわれ過ぎたのかもしれません。

いつもより、三次元に動く自由さがやや失われていたと思います。

ジャブのようなものも、やや手だけで反応していました。

その後、すぐタックルに合います。

タックルが来て、圧を出して対応はしたものの、相手に腰などを掴まれてしまったと思い返します。

これがよくない!

どのように、自分のステイトを安定させても、相手は離れません。

相手に支えを完全に与えないほどの精度がないので、
相手の重さを受け止めてしまったり、自分の重心が相手にコントロールされている感覚がありました。

倒そうとしてきているので、相手の頭は自分の懐にあるわけです。

いつもなら、ここで相手の脳にインパクトを与える攻撃をできたのかもしれませんが、
相手にコントロールする権限が渡り過ぎており、正確に相手の頭をとらえられませんでした。

この状況においては、相手をふりほどくこと、締めるような形で
相手に脅威を与えつつ、自分の安定性を取り戻すほうがよかったかもしれません。

足をかけられたわけでもなく、
ボディコントロールによって、しゃがみ状態にまで崩されました。
この上手さは、やっている人という感じです。
(対戦相手は後で伺ったところ、レスリングに特化しているでもなく、総合的に練習されている方でした。
レスラーなら、もっと一瞬で展開を変えられていたことでしょう)

私がズレるようにエスケープすることもあり、
相手選手は、横から私の身体を辿り、後ろにポジションをとってきます。

グラウンド(しゃがみ状態)で、やや後ろをとられるという最悪な状況。

そして、相手は私の首に手をかけ、足で体を引っ掛けて、
全体重をかけて思いっきり、後ろに倒れ込むように引き伸ばしてきました。

ここで、私も完全にテイクダウン。

スリーパーホールドの一歩手前。

★厚手のオープンフィンガーグローブで相手の腕を掴み、自分を自在に動かす。
この慣れが、とても重要と感じました。

相手をしっかり掴めていないと、相手の力をうまく利用することができません。

抽象的にしか攻撃を食い止められません。
つまり、点でなく面という大きな防御が必要になります。
このとき、腕全体に力みをもたざるを得ませんでした。

自分の自由さがますます失われます。
身をこなすという発想が頭から吹き飛び、相手の攻撃に警戒しかできていません。
自分主体ではなくなっています。

この時点で、相手には何も恐れがなかったでしょう。

突破口なく、とにかくスリーパーホールドが決まらないように必死です。
引っ張り合う筋力は鍛えていないので、すぐに疲労感がきます。

ほぼ絞まってきた感のあるところで、すぐに視界が狭まってきます。

審判が視界に入ってきて、OK?的なことを確認をしてきたように思います。

そこで、やや我に返ります。
大丈夫なアピールができていないと、KOを取られ、試合終了です。

そのとき、唯一できるアピールといったら、呼吸。

そうです。呼吸が浅い、止まっていた?のです。
マウスピースから唾液が噴き出すくらいに、身体全体から呼吸をしました。

今思えば、呆れてしまうくらい、
システマの核である呼吸ができていなかったのです。
呼吸によって、スリーパーホールドの硬直状態から、動きが出てきました。

そのときは力みのないように動けたと思います。
そして、KO寸前の危機的状況から脱し、体勢を立て直せそうになりましたが、
相手をほどくことはできませんでした。

その生じた動きを活かし、相手に返せるようになれば良かったのかもしれません。

結局、ポジション的に相手が優勢なまま、1ラウンドが終わりました。

この時点で、全身に疲労感が漂います。

しかし、冷静に自分が陥った状況やその原因を顧みることができていませんでした。
覚えているのは、
セコンドから「よくやっている!水飲んでまぁ休もう。」という一言くらい。

何も考えておらず、きたる2ラウンドが始まるまでに、呼吸などのステイトを整えるのに必死でした。

2ラウンド目のゴングが鳴ります。

行った行動は、とにかく前進。
ただ、自分の安定感は明らかに、元の状態よりも悪かったと思います。
打ち合いになっても、良い展開にはならなかったでしょう。

マジで1ラウンド目と同じパターンでタックルを受けます。

このとき、攻めなければ!という意識が芽生え、カギ詰め的に首を引っかけようとしますが、
うまく引っかからず、そのままテイクダウンに。

マウントをとられてしまいます。
完全に相手の頭を押さえたままにしようとしますが、めっちゃ疲れます。

これでは、状況は好転しないので、外してマウントから抜け出そうとします。
パウンドをかいくぐりながら抜け出そうとしますが、テンションがあると全く抜け出せません。
全身で返す必要があります。

それでいったん立ち上がろうとしますが、相手に背を向けてしまう状態に。
そして、またもや同様のスリーパーを仕掛けられました。

それを遮ろうとしている間に、バランスを崩し、背面の半マウント状態をとられます。
このように、体勢を変えてもいつも優位に立たれてしまいます。
瞬発的なエスケープが必要なのかもしれません。

背面の半マウント状態は、スリーパーも怖いですし、打撃も浴びせられます。
とにかく、頭を腕で覆いながら、耐える状態に。
こめかみへの打撃が続きます。

なんでもよいので、全身を使った離脱ができればよかったのですが、
疲労感と全身がふわふわする不安定さから、それを実行できそうにありませんでした。

まさに日頃から、
力を使わずに、流れを利用して身体を動かすトレーニングが必要だと感じます。

打撃が続き、レフェリーがストップをかけて、
試合が終了~。
TKO負けです。

まだやれるとは思いましたが、
全身の疲労感と不安定感から、続けてもダメージが増えただけでしょう。

そして、両者立ち上がり、レフェリーが相手選手の手を掲げます。

軽く選手、セコンドに挨拶をして、リングを後にしました。

リングから降りると、地面の高さ感覚がマヒし、ふらつきながらベンチに。

このとき、全身疲労に加え、何とも言えない気分の悪さ(極度の疲労によるもの?)から、座ってもいられないモノでした。
こめかみへのダメージもアドレナリンが出ていたので、何も感じませんでしたが、
頭の重さやぐらつきが生じます。

何より今まで感じることのない首への負荷が、スリーパーホールドに耐えたときに加わったのですから、
試合後、頭を支えるのがとてもキツかったです。

とりあえず、選手待機ルームに戻り、横になっていました。

ひどい二日酔い、インフルエンザのような高熱が出たときのダルさに襲われました。
身体が全身の炎症に対して反応・回復していたのでしょうか。

20分くらい経ってようやく起き上がることができました。

その間、ずっと試合の回想をセコンドにつぶやいていたと思います。
この時の感情や感触を忘れてしまってはいけません。

体力が回復してくると、すぐ楽観的な思考に切り替わってしまうので・・。

一部、動画として残したので、後日生々しいものを共有したいと思います^^;

「進撃の巨人」で言う、成果報告する調査兵団気取りで。

 

2.今後のシステマへの取り組み方

今回の試合を経験して、自分のシステマへの取り組み方を、改善する必要があると感じました。

自分にとって、システマはサバイブするのに一番信用しているメソッドです。

そして、それは少なくとも護身術・格闘術として機能して、然るべきだと考えます。

(本来は、戦場の中で適用されるもので、格闘術よりももっと大きな行動学に近いものです。)

 

もし護身術・格闘術として機能しなくとも、

システマをやるメリットはたくさんあるのですが(心身の健康や身体の使い方など)、

私としては、護身術・格闘術として機能してもらいたい、いやするはず、と信じています。

 

今回、MMAの試合で負けてしまったことで、

試合の時間やレフェリーがいなかったら、とても護身はできていなかったと痛感しています(戦死確定でした)。

 

ただ、誤解しないでほしいのは、

システマが護身にならなかったのでなく、
私が、試合中にシステマを十分に発揮できていなかったということ。

試合で緊張しない、上がらないという点では、明らかにシステマの効果により、起こっていなかったと思います。

しかし、タックルを食らったり、テイクダウンされたときに、システマでなく、ただの自分が強く出ていました。

つまり、恐怖によって身体が反応してしまったということです。

恐怖を感じるが、その恐怖が何かを具体的に認識し、感情でない脳から出る指示を素直に体現できるかどうか。

 

テイクダウンされるとやばい、このように動くと関節を取られてしまうかもしれない・・

これらの感情は、経験によるものでなく、漠然とした恐怖心です。

それが動きの自由さをなくしてしまっていました。

 

 

経験は自分の自由さを高めることは明らかです。

経験のない未知なるものに対応できる力が、システマで育まれるものであり、

今回、それがまさに試されたのだと思います。

そして、やはり恐怖心によって動きの自由さを自ら奪っていました。

 

試合後、どうすればよかったのか・・・と考えてしまうのですが、

時間が経つにつれて、取れた行動は無限にあったのではないか、と思うようになります。

 

どうなるかわからないから行動できない、のでなく

どうなろうともその都度、直感的に良い行動を起こし続けるから大丈夫。

このように考えられるメンタルと

直感的に良い行動をとれる能力(習慣)を、普段のシステマで学び続けなければなりません。

 

試合によって簡単に導き出される課題は、

総合格闘技術やレスリングへの対策、ですが、

問題はどんな対策をすべきかです。

 

経験を蓄えることは、間違いなく効果があるので、そのような相手とトレーニングすることを取り入れたほうが良いでしょう。

システマにおいては、意地でも極めにくる相手のパワーに対して、常に優位性を維持する動き方、身体の使い方を練習していく必要があると感じます。

精度を高める練習と、その精度をどのような相手や状況においても発揮する練習が必要です。

 

これらの視野で、今後の練習に向き合おうと考えられたことが、私にとって価値あるものになったと思います。

 

また、より護身につながるシステマの練習方法も自分の中で確立していきたいと思います。

現時点では、自分のシステマは、格闘家を相手には護身できるものでないということを、痛感しておりますので。

以上

チャレンジ2回目はコチラ↓

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ABOUT ME
いなも@システマライフハッカー
”仙豆”を開発することを夢見て、健康食品会社で働いていたものの、2016年に出会ったロシアの武術”システマ”こそ、その糸口があると感銘し、勝手にシステマ普及活動を始める。 一方で、クリエイティブなモノ作りが好きで、DX社会で楽しみを見出せる"Unity”を活かして、”スマートかつ快適な暮らし”のヒントを発信している。

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