システマ

システマ芸人の神業!?痛みを克服する呼吸法【システマ修行者によるガチ解説】

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皆さん、”システマ芸人”を聞いたことがありますか?

それはお笑いコンビ*で、
芸風が相方(格闘技経験者)の攻撃に対して、
独自の呼吸法で痛みを感じないことを披露する というものです^^

*:コンビ名はピーマンズスタンダード。
  現在は解散し、ピン芸人”みなみかわ”で活動されています。

彼のパフォーマンスは、システマというロシアの軍人格闘技で用いられる呼吸法なんです。

あの現実離れしたパフォーマンスに、
「痛みを感じなくすることなんてできるの?」
「あれはあくまでネタでしょ?」
という疑念を、皆さんもたれているんじゃないないでしょうか?

本記事では、あの呼吸法の真相について解説します。

ちなみに、記事を書いている私は、
”システマ”を日本で最古参の先生から修業を4年受けており、一応システマを正しく理解している者です。
※システマ創始者のミカエル・リャブコ氏から
直接指導を受けたこともあります。

1.システマ芸人がやっている呼吸法とは

まず、ロシアの軍人格闘技として知られる”システマ”について、説明させてください。

ロシア古来より伝わる武術を基に、
ロシア軍特殊部隊 将校の”ミカエル・リャブコ氏”が創始したトレーニングシステムです。

主には、格闘術(マーシャルアーツ)を通して、心身のパフォーマンスを引き出し、サバイブする力を養うものです。

その有効性と潜在的可能性から、
ロシアの特殊部隊スペツナズの精鋭達のために保護されてきましたが、
ソ連崩壊後、一般公開されました(殺人術は除く)。

簡単にいうと、システマとは、
”呼吸を核として、心身のコンディショニング、リラクゼーションを計り、
ものすごいパフォーマンスを発揮するもの”と認識ください。

システマでは、呼吸が最も重要で、
呼吸によって、私たちはストレスを解消することができるのです。

システマの基本的な呼吸方法については、こちらをご参照ください。
【システマ式】正しい呼吸の方法とは

呼吸法は、ストレスや状況に応じて異なりますが、
システマ芸人がやっている呼吸法は、
負荷の強いストレスから回復するのに用いられる呼吸法、
その名も”バーストブリージング”というものです。

そのシステマ芸人のネタがこちら。

YouTube動画より引用
「呼吸法を習得しているからどんな攻撃でも痛くない」と豪語し、
相方が殴っても、回復して平然としています(笑)
なんというか...私個人としては理屈抜きで面白いと思うのですが、
ハマる人と引いてしまう人に分かれそうですね…^^;

1-1.バーストブリージングとそのやり方

前提として、
システマの呼吸法は、基本的に鼻から吸って口から吐きます。
呼吸をすることで、筋肉などの緊張を弛緩させ、リラックスを誘導できます。

バーストブリージングとは

突発的に起こす、小ぶりで早いリズムの呼吸。
攻撃を受けるなどの強いストレスで、身体に生じる緊張を抑えるのに有効。
緊張を最小限に抑えられば、元のリラックスした状態に戻りやすくなる。

早いリズムの呼吸って大変そうと思われるかもしれませんが、
2つのコツをつかめば、誰でもできます。
息を吹くというイメージをもつ*。
吸うことは無視して、吹くことだけに集中する。

*:体内の空気を吐き出すイメージでやってしまうと、
しだいに身体がしぼんでしまって、構造的強さが失われる。

継続的に口で息を吹くことに徹していれば、鼻から自然に空気が吸い込まれます

是非一度やってみてください。

動画のように、切れ味よく、スピーディーに行いましょう。

慣れない内は、この呼吸法自体にストレスがたまるかもしれませんが、
簡単なのですぐに慣れますし、呼吸がとまるより何倍もマシです!!

攻撃を受けた直後は、バーストブリージングを発動し、
そして、深く穏やかな呼吸を経由して、元の呼吸に戻しましょう。

1-2.痛みを克服できるメカニズム

まず断っておくと、攻撃をもろに受けた場合、痛みはゼロではありません。
痛みを抑える攻撃の受け方はあります。これについては、また別の記事で。

しかし、
バーストブリージングによって、
痛みを克服し、早く回復することは可能です

それを解説するために、
痛みは、次の2タイプがあることを前提とします。

身体の表面付近で感じる痛み…痛覚に直接はたらいて、感じる痛み

身体の内面で感じる痛み…筋肉が緊張して神経や内臓を圧迫したり、攻撃を受けると痛いという思い込みで生じる痛み

表面付近で感じるものは、身体の組織が損傷しない限り、一時的な痛みとして終わります。
痛覚に直で伝わるため、痛みがゼロでないのは、これが原因です。

バーストブリージングは、特に、内面で感じる痛みに有効です。
前述の通り、筋肉の緊張を抑える方法なので、
内面で感じる痛みは小さく、
緊張もすぐに解かれるため、痛みを感じる時間が短くなります。
その結果、元の状態に早く回復できるのです。

仮に、強い攻撃を受けても、
バーストブリージングをしなかった場合(筋肉の緊張を放置した場合)、
筋肉に緊張が強く刻まれて、解かれづらくなり、
痛みを克服するのに、時間を要することになります。
さらには、身体がもっと強張り、精神が追い込まれて、
痛みが増大していくこともあるでしょう。

余談ですが..

バーストブリージングは、小ぶりで早い呼吸がゆえに、
動きながらでも無理なく行えます。
(呼吸のリズムは動きと連動しやすいため)
つまり、バーストブリージングは回復を促しながら、反撃や危機から回避することが可能なのです。
システマ芸人は、連続攻撃に対してちょっとたんま!みたいな仕草をしていますが、
本当ならば、もっと自由に動けるはずだったりします。

2.バーストブリージングの練習方法

さて、バーストブリージングについて、熱く語ってきました。
ここまで読んで下さった方ならば、
習得したくなったのではないでしょうか?

それでは、ここからはバーストブリージング習得のための練習方法を紹介します!

2-1.セルフトレーニング(自主練)

バーストブリージングは
身体に負荷がかかり、筋肉が緊張、そして硬直し始めることを抑えるために使います。

なので、バーストブリージングをするために、人にどんどん殴られに行きましょう^^

・・・というのはヤバい人ですね笑

自分で負荷をかけて、回復する練習が正解です。

負荷のかけ方として、例えば、以下の方法があります。

方法1.プッシュアップ(拳立て)や腕立て伏せ
①プッシュアップや腕立て伏せを、高速で行う

②身体が緊張した状態になったら(キツくなったら)、
正座など呼吸のしやすい良い姿勢になり、バーストブリージングをする

③キツさが解消されてきたら、徐々に深く穏やかな呼吸に変える
→深い呼吸で、細かい緊張を取り除ききるイメージで行いましょう。

④元の快適な状態に戻す(重要)
~~以降、繰り返し~~

筋肉痛になるまで行う必要はありません。
筋トレではなく、バーストブリージングを使った回復の練習であることを忘れないでください。

方法2.息を止める
息を止めると、より精神的に追い込むことができます。
生命的にもキツいのは勿論ですが。
①初めに、息を吸って、しっかり吐ききる

②そこで、息を止めて、キツくなるまで我慢
→だんだんとキツくなりますが、
それが精神的のものなのか生命的なものなのか感じてみましょう。
緊張の正体をわかれば、それを取り除きやすくなります。

③限界になったら、バーストブリージングを始める
→呼吸がしたいため、より自然に発動しやすいと思います。
ただし、吸うのでなく、吐く(吹く)のを
意識することを忘れないでください。

④徐々に呼吸を整えて、元の快適な状態に戻す
~~以降、繰り返し~~

てな感じで、やり方はとてもシンプルです。
バーストブリージングを身体に慣らし、
無意識に、快適に行えるように、精度を高めていきましょう。

また、上記の練習は、ストレス、緊張の正体を感じ取る訓練にもなります。
それがわかればわかるほど、緊張の解消は容易になってきます。

わからないものを取り除くことって難しいし、不安ですからね!

2-2.人と練習する

パートナーがいるならば、まず一緒にセルフトレーニングをやってみましょう。

人前でバーストブリージングをやる自分をみせることで、
その恥ずかしさを解消してください。

システマ芸人が、その姿をおもしろおかしく表現したがゆえに、
恥ずかしく思ってしまうからです(私だけ?)。

また、システマ芸人のように、
パートナーからストライク(強いパンチなどの攻撃)をもらい、
それで身体に受けた緊張や痛みを、
バーストブリージングで回復するという練習もよいでしょう。

ただし、
ストライクを受けることができるスキル、
身体の深部まで届くストライクができるスキル
をもった者同士でないと、
効果的な練習にならなかったり、主旨をはき違えた練習に発展しかねません。

よって、はじめの内はセルフトレーニングを推奨します。
実際、セルフトレーニングは、自分の心身に生じる緊張を、
じっくり感じることができるので、精度を高めるのに最も有効かと思います。

2-3.システマを習いに行こう

本記事で紹介することは、習いに行っても同じような説明を受けると思いますが、
実際にやる人のナチュラルさを肌で感じてほしいと思います。

文字でシステマを理解してもらうためには、
どうしても理屈っぽくなってしまうのですが、
システマは、確実に想像を超えてシンプルです。

緊張を感じろ、というような事を再三述べてきましたが、
システマは、技術うんぬんよりも、感性を磨くことのほうが重要です。

実際に習いに行くことで、感性がある人に、
的確に身体の状態を指摘してもらえることは大変価値があります。

習いに行く場合、通いやすい最寄りのシステマ団体が良いと思います。
上手くなるには継続できないと意味がないですからね。

現在、システマ団体は何気に全国各地に点在しますので、
一度検索してみてください。

大きい団体としては、以下が挙げられます。

システマジャパン
http://www.systemajapan.jp
日本でシステマを発祥させた団体。

システマ東京
https://www.systematokyo.com
システマで最も著名な団体。

システマ大阪
http://systemaosaka.jp/
神業をもつ大西先生を中心とした団体。

おすすめは、私の所属する
システマ吉祥寺(http://www2.bbweb-arena.com/mono_inc/SYSTEMA/)です。
こちらもよろしくお願いします^^

まとめ

最後に、システマ芸人が使う呼吸法について、内容をまとめます。

システマ式呼吸法 バーストブリージング

・システマ芸人が使う呼吸法は、バーストブリージングである

・小ぶりで早い呼吸により、痛みの原因である心身の緊張を抑えることができる

・強いストレス(攻撃)を受けたとき
①バーストブリージングで、心身に生じてくる緊張を抑える
②痛みが和らいできたら、深く穏やかな呼吸で、残りの緊張を取り除く
③元の快適な状態に戻る=回復完了

・練習方法は、プッシュアップや息を止めるといった、自分に負荷を与えた後に、バーストブリージングを行うことが有効

システマ芸人が使う呼吸法は存在します。

痛みを感じない域に達することは難しいですが、
痛みを克服するのに有効な手段であることは間違いありません。

今回は、皆さんが最も抱きそうな疑念を解説してみました。

他にはないくらい、詳しく解説した記事だと思うので、
身近に同じ疑念をもつ人がいたら、シェアしてあげてください。

また、記事の感想や不明なことがあれば、コメントなど残していただけると幸いです。

それでは!

ABOUT ME
いなも@システマライフハッカー
”仙豆”を開発することを夢見て、健康食品会社で働いていたものの、2016年に出会ったロシアの武術”システマ”こそ、その糸口があると感銘し、勝手にシステマ普及活動を始める。 一方で、クリエイティブなモノ作りが好きで、DX社会で楽しみを見出せる"Unity”を活かして、”スマートかつ快適な暮らし”のヒントを発信している。

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